映画「柘榴坂の仇討」(2014年)のレビュー、感想、武士道とは?井伊直弼っていい人なの?

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映画「柘榴坂の仇討」(2014年)の感想です。
評価 6/10点満点
武士道とは?
江戸時代から明治に変わり侍の気持ちはどう変わっていったか?
井伊直弼は悪者なのか?
この辺がポイントかと思います。感想、補足解説します。

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あらすじ

製作年:2014年 製作国:日本 上映時間:119分 監督:若松節朗出演:中井貴一、阿部寛、広末涼子、高嶋政宏
桜田門外の変の護衛が仇討ちするはなし。

感想(ネタバレ)

桜田門外の変の護衛が仇討ちするはなし。設定は面白いです。
襲撃犯を一人ずつ見つけて血祭りにあげるアクションや
忠臣蔵のような忠義ものの美談にもできる設定です。
しかしこの作品は江戸から明治への時代の変わり目に侍の心情の変化が描かれています。

暗殺される井伊直弼ですが長州側の人が主役のドラマや映画では極悪人扱いされることが多いです。今回もそんな私利私欲に満ちた極悪人で気に入らない奴は片っ端から処刑みたいなキャラだったら作品台無しです。こんなやつのためになぜ仇討ちってなります。今回は良識人の井伊直弼です。そんな人柄に惚れたという要素も仇討ちの理由となっています。歴史上の人物の評価はどちら側から見るかによって変わってきます。水戸や長州側からみたら極悪人だし江戸側から見たら尊敬できる人となるでしょう。最初攘夷とかいって開国反対していた後の明治政府要人たちが開国政策をとるのを見て暗殺犯、佐橋十兵衛(阿部寛)も後に井伊直弼のやっていたことに理解を示すところが描かれています。

だいたい明治維新は江戸の悪政から人々を解放したみたいに思ってる人が多いと思います。私もそうでした。江戸幕府を倒した明治政府が「江戸時代はいい時代だった!」なんて宣伝するわけもなく江戸時代は暗黒時代というイメージが形成されていきました。明治維新後の戦争ばかりの時代と260年の天下泰平の時代どっちがよかったかでしょうか。
でも身分制度があるし侍が威張り散らして年貢は高いわで庶民にとって地獄だったんじゃないのと思ってる人多いと思います。
そんな方にこの本がおすすめです。江戸時代を称賛しています。

映画に話は戻りまして、志村金吾(中井貴一)が襲撃犯を追い求めていくんですが13年間も。この人の普段の生活どうなってるのかが気になってしょうがありませんでした。最初のほうは上司に命令されていたし武士の組織もあったので禄(給料)がでるので追跡に専念できます。しかし武士という階級がなくなってからが問題です。奥さんが働いて苦労かけてる描写があったり。借金取りに追い込まれてる庶民を金吾が助けるシーンでは、周りで一般人となって働いてる武士が次々と名乗り出て金吾を手助けします。みんな働いてます。13年間おいかけてるんだから絶対ネタ切れで暇な時間がたくさんあったはずです。奥さんに晩御飯のタイを分けてあげるだけで済ましていたけど、職を持ったうえで犯人探したほうが現実的な話かなと思いました

借金取りから庶民を助けるシーンで武士たちが武士道についてはなします。金吾の仇討ちの動機も武士道に基づくものです。金吾、佐藤十兵衛の両方とも親が切腹します。武士道をベースにした公に対する責任感によるもので決して強制されたものではなく自発的なものと思われます。死をもって償うというのは現在ではあってはならないことですが。江戸時代の実務のトップ大老暗殺ともなれば世の中を乱す大事です。かかわった人間には相当の罪悪感がのしかかります。そもそも武士道とはなんでしょうか。アメリカ人が作った「将軍SHOGUN」(1980)というテレビシリーズがあります。この中で突然、切腹する武士がいます。とっても???なシーンでした。アメリカ人からすると、こんな感じで切腹が理解不能な行動ととらえられるのかなと思いました。作品自体は面白くないのでおすすめはしません。

武士道についてはこの本が分かりやすいです。2005年に出版され、ベストセラーとなった本で作者の藤原正彦は数学者で作家新田次郎の息子です。

総評としては設定が面白いんですが金吾の普段の生活が気になってしょうがなかった。中井貴一、阿部寛二人とも好きな俳優なんですが、あまりよさが引き出せてないと思います。椿の映し方が印象的で、あそこはよかったです。椿三十郎思い出しちゃいますけど。予告編では仇討ちを思いとどまるのは仇討ち禁止令が出たからみたいな宣伝でした。実際は井伊直弼の言葉や椿のエピソードからですね。その辺の動機は好きです。

中井貴一主演、浅田次郎原作なら「壬生義士伝」のほうがおすすめです。中井貴一の一人芝居が泣かせます。

ラストサムライ(ネタばれ)

製作年:2003年 製作国:アメリカ 上映時間:154分 監督:エドワード・ズウィック出演:トム・クルーズ、渡辺謙、真田広之、小雪
西南戦争をベースに明治政府にやとわれたアメリカ人の軍事顧問の活躍を描く。

武士道をハリウッドから見たらどうなるか関連作としてご紹介。
はじめ見たときはよくあるハリウッド映画の歴史大作パターンで
舞台が日本なだけでつまらいので飛ばして見ました。
2回目ツッコミどころを探してみるかと思って見返したら印象変わりました。
もちろん無理やりトムクルーズが侍になったり忍者登場したり
圧倒的不利な戦いに味方したトムクルーズカッコいい~な映画なんです。
勝元(西郷がベース)の反乱の動機を
分かりやすくするために民を懲らしめる明治政府に
そそのかされてる天皇に目覚めてもらうための反乱みたいに
取れるようなつくりになってました。
善悪ハッキリさせてアメリカ人に見やすいようになってます。
でも本来この映画の伝えたかったらところは
武士道とはというところはもちろんですが。
明治維新というか欧米化についてしっかりと伝えているように感じました。
特にラストの10分ぐらい。
政府軍の一斉土下座や最後の天皇のセリフまでが本編と思います。
政府軍の土下座は勝元の武士道を貫き通した姿をたたえるものではなく
勝元の死とともに過去の日本が終わった寂しさみたいなものからくる
土下座というより、へったって腰くだけのような感じに見えます。
見やすいようにトムクルーズカッコいい~のコテコテ展開で作ってあるけど
武士道や日本についてリスペクトが感じられ
テーマはしっかりしてる映画だと思います。

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